障害年金の申請で重要な要件のひとつが「初診日」です。
しかし、何年も前の受診記録はカルテが廃棄されていたり、病院が閉院していたりして、証明が取れないケースも少なくありません。
本記事では、初診日が証明できない場合の具体的な対応方法 をまとめました。
障害年金で初診日の証明が重要な理由
初診日とは何か
初診日とは、障害の原因となった病気やケガで、初めて医療機関を受診した日を指します。
なぜ初診日が申請のカギになるのか
障害年金の受給可否や障害年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金)は、初診日に加入していた年金の制度や初診日時点より前に一定期間国民根金の保険料を納めているかどうかの保険料納付状況で決まります。
そのため、初診日が証明できないと申請が却下される可能性があります。
初診日が証明できないときの基本的な流れ
まずは初診医療機関で「受診状況等証明書」を依頼
最初にかかった医療機関に「受診状況等証明書」を作成してもらうのが原則です。
診断書作成先と同じ医療機関であれば、診断書で代替できる場合もあります。(同じ病院でも受診科が異なると受診状況等証明書が必要になることもあります)
カルテが廃棄されていても取れる証明
レセプトコンピュータ(レセコン)記録の活用
カルテの保存期間は5年程度ですが、レセコンに受診記録が残っている場合があります。
診療科や受診年月だけでも証明に使えることがあります。
診療科や受診年月だけでも認められるケース
具体的な診療内容がわからなくても、初診日を推定できる記録として認められる場合があります。
証明書が取れない場合の申立書と補足資料
「受診状況等証明書が添付できない申立書」とは
初診医療機関から証明が取れない場合に提出する書類で、初診日や経緯を本人が申立てるものです。
初診日を裏付ける補足資料の例
- 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳
- 保険会社や労災の診断書
- 健康診断記録
- 医療情報サマリー
- 健康保険給付記録
- 紹介状・診察券・領収書・お薬手帳
- 救急搬送記録・交通事故証明書
- 家計簿・日記・手帳など生活記録
転院先の記録を証拠にする方法
紹介状やカルテ記載が有力証拠になるケース
転院先のカルテに「○年○月ごろ○○病院受診」といった記載があれば、初診日の証拠となります。
5年以上前の記載と5年以内の記載の扱いの違い
5年以上前の記載は単独で認められることがあります。
5年以内の場合は、他の資料との組み合わせが必要です。
第三者証明の活用
第三者(友人等)の証言
初診当時を知る友人等の証明書も有効です。
※第三者証明は3親等内の親族以外が条件になります。つまり、親や兄弟姉妹、祖父母、おい・めいは第三者として認められません。
医療従事者による第三者証明
医療従事者の証明は信頼性が高く、他資料がなくても認められる可能性があります。
20歳未満と20歳以上の違い
- 20歳未満:第三者証明のみで認められる場合あり
- 20歳以上:他の資料との併用が望ましい
初診日が特定できないときの取り扱い
日付不明の場合は月末日扱い
「○年○月ごろ」とわかれば、その月の末日を初診日とします。
一定期間の推定で認定されるケース
複数の資料で初診時期を絞り込めれば、条件次第で認められる場合があります。
初診日証明をより確実にするためのポイント
有用な証拠資料は複数あるとなおよい
複数の資料を組み合わせた方が信頼度が高まります。
紹介状+領収書、お薬手帳+診察券など、組み合わせの工夫が有効です。
転院先や保険記録を確認することも有用
初診医療機関以外の記録も重要な証拠になります。
まとめ|初診日の証明は諦めずに資料を探そう
- まずは初診医療機関に証明を依頼
- カルテがなくてもレセコンや転院先記録を確認
- 申立書+補足資料で裏付けを強化
- 複数の証拠を組み合わせて信頼度を高める
初診日は障害年金請求の要です。
諦めずに、あらゆる手段で記録を探し出しましょう。