【諦めない!】障害年金の再申請をスムーズに進める重要ポイント
障害年金の申請を行ったものの、「不支給決定となってしまった」「希望する等級よりも低かった」など、結果に不満が残る場合、「再申請(再裁定請求)」つまり「もう一度申請する」という選択肢があります。
一度不支給となると、審査のハードルが高くなる可能性がありますが、適切な準備をすることで認定される可能性を高めることができます。ここでは、再申請にあたっての押さえておきたい重要ポイントをわかりやすく解説します。
※業務上では「請求」と言いますが、みなさまになじみのある「申請」という表現にしています^^
1.再申請とは? 審査請求との違いと最適なタイミング
障害年金の申請結果に不満がある場合、主に「審査請求」または「再申請(再裁定請求)」のどちらかを選択することになります。
再申請(再裁定請求)とは
- 手続きの性質: 過去の決定に対する「不服申立て」の手続き(審査請求)とは異なり、改めて最初から請求を行う手続きです。新たな申請として扱われ、「申請をやりなおす」というイメージで、改めて提出する資料に基づいて審査が行われます。
- 申請時期: 再申請はいつでも行うことが可能です。
再申請のベストタイミング
単に時間が経過しただけではなく、前回よりも障害の状態が変化したことや、新たな障害状態についての根拠を提示できるかどうかが重要です。
- 状態の変化が明確になったとき: 障害の状態が前回の申請時よりも明らかに悪化したり、新たな合併症が生じたりした場合、医師の診断で状態の変化について診断書内に表していただくことが重要となります。精神疾患の場合、前回の申請時は就労をしていたが、体調不良により現在は退職して無職・・など就労状況に変化があった場合も検討時期として捉えられると考えます。
- 新たな検査結果や診断が得られたとき: 認定基準で等級該当を示せるような新たな診断結果や、より詳細な機能評価などが得られた場合、それらをもとに診断書を再度取得が可能であれば再申請を検討されるとよいと考えます。
前回の申請後、すぐに再申請することは制度上は可能ですが、一般的には6カ月程度経過を見定めたうえで検討して進めていくことが多いです。
2.再申請のために検討する:不支給理由の分析と対策
再申請を進めていく際の第一歩は、前回不支給となった理由を「不支給決定通知書」で確認をして、その不足点を重点的に補強することです。不支給の主な理由と対策は以下の通りです。
理由1:初診日または納付要件が不十分な場合
障害年金は初診日がいつか証明する必要があります。
• 初診日が特定できないため(初診日の証明が不十分): 初診日を特定するため、古い診療記録の写し、診療報酬明細書、健康保険の通院履歴など、初診日のある期間を特定できる資料を可能な限り探して提出します。当時の事情を知る第三者の証言も有効な場合があります。
• 納付要件を満たしていないため: 前回の初診日よりも前に、現在の病気やケガと因果関係のある症状で病院を受診していたことが判明した場合、初診日を前にずらして再申請することで、納付要件をクリアできる可能性があります。特に20歳前に因果関係のある症状での受診が証明できれば、納付要件が問われないことになり審査に進むことができる場合があります。
理由2:障害の程度が認定基準に該当しない場合
• 障害の程度が認定基準に該当しないため: この場合、再申請では、日常生活や仕事への具体的な制限の程度を裏付ける証拠を強化します。単なる症状の訴えではなく、具体的な困難な事実を客観的に示すことが重要です。症状についての日記や家族・介護者・支援者等による状況証明書を取得するなどして活用し、生活機能の評価を具体的に示す資料を揃えましょう。
3.再申請で最も重要な書類準備と専門家の活用
再申請は、診断書や病歴・就労状況等申立書などの書類一式を再度整えて、日本年金機構に提出します。最初に申請した場合と同様に書類を整備することが必要となります。
提出書類の整合性に注意する
日本年金機構には、1回目の申請時に提出した資料が保管されています。そのため、再申請の際に提出する書類(特に病歴・就労状況等申立書)の内容が、前回の書類と整合性が取れているかを注意する必要があります。
例えば、前回の診断書に「できる」と記載されていた点が、わずか数カ月後の再申請で「できない」に変わっていた場合、整合性がなく信用性に欠けると評価されてしまう可能性があります。そのような場合は「なぜこの短期間に病状の変化がみられたのか?」という照会が日本年金機構より入ることがあります。前回提出した書類の写しは、年金事務所に申し出て郵送してもらうことができます。
医師の協力は不可欠
診断書は審査の要となるため、主治医に再度の協力を得られるかどうか、非常に重要なポイントです。
- 十分な情報提供: 診断書作成を依頼する前に、日常生活の困難をまとめたメモを用意し、前回の不支給理由と今回補強すべき点を医師に伝えます。
- 客観的な記述: 感情的な訴えではなく、「この動作を行うのに20分もかかってしまう」「家事や身の回りの事ができなくなりヘルパーの利用を開始した」など、具体的な事実を客観的に説明して診断書に反映してもらえるようお伝えすることも重要です。
- 継続的な記録: 症状の変化や日常生活での困難を毎回伝え、定期的な通院を継続することで、カルテへの記録が途切れないように注意します。
専門家への相談をすることも一つの選択肢
「初回で不支給だった場合、再申請の認定は難しくなるのか」というご質問を多くいただきます。
これについては、特に初診日の特定が困難な場合や、複雑な事情がある場合、そういった「難しい」状況がみられることはあります。どのような理由で不支給になってしまったのか?その理由や提出された書類によって、難しくなることは正直あります。
そんな時こそ、まずは専門家にご相談いただくことも選択肢に加えていただけたらと思います。
前回提出した内容を踏まえ、どのように根拠を集めていくのか、障害状態を反映していくのか、について皆様と一緒に知恵を絞り、効率的かつ効果的な再申請をサポートしてくれるはずです。
まとめ
障害年金の再申請は、単に書類を出し直すことではありません。前回の不支給理由を分析し、新たな根拠と、日常生活の制限を具体的に示す資料を揃えるという、綿密なアプローチが必要です。
不安な点があれば、一人で抱え込まず、早い段階で専門家に相談し、適切なサポートを受けながら粘り強く再申請を目指しましょう。